高齢化・核家族化が進む中、高齢者の方がどう自分の財産を管理し守っていくかご心配かと思います。
ご自分が健康なうちに、将来自己の判断能力が不十分になった場合に備えて、財産管理や身の回りの生活、療養看護について代理権を与える任意後見契約や財産管理委任契約などもお受けしています。また、ご家族におきましては、成年後見などの法定後見についても一度ご相談ください。
成年後見制度は、認知症、知的障がい、精神障がいなどの方の権利を守るために、本人の保護の観点から設けられた制度で、「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。
●法定後見制度
認知症、知的障がい、精神障がいなどによって判断能力が不十分な方に対して、本人の権利を法律的に支援、保護するための制度で、本人の判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助の3類型があり、判断能力を常に欠いている状態の方には成年後見人を、判断能力が著しく不十分な方には保佐人を、判断能力が不十分な方には補助人を裁判所が選任し、本人を支援します。
・成年後見人等の権限としては、成年後見人には、財産に関する法律行為(契約等)について包括的に代理する権限があり、本人の行った行為を取消すこともできます。
・保佐人には、民法第13条1項所定の行為(重要な行為が多く列挙)について同意権・取消権があり、さらに、家庭裁判所への申立てにより、同意権・取消権の範囲が拡張されたり、特定の法律行為について代理権が付与されることもあります。
・補助人については、家庭裁判所への申立てにより、民法第13条1項所定の行為の一部について同意権・取消権が付与されたり、特定の法律行為について代理権が付与されたりします。また、法定後見の申立は家庭裁判所に対して行うのですが、この申立てをすることができるのは、本人、配偶者、4親等内の親族等です。
●任意後見制度
平成12年にスタートした成年後見制度において、任意後見制度は本人の自己決定権を尊重し、自分の後見人を自分で選べる新しい制度です。将来の判断能力の低下に備え、自分の後見人になってもらう人を自ら選び、その人と任意後見契約を、公正証書にて締結することが必要です。
任意後見契約の中で、将来の後見人(任意後見受任者と言います)に依頼すること(銀行取引、施設入所契約などの代理権を設定するということになります)、報酬を支払うとすればその額などを定めておきます。
その後、本人の判断能力が低下し、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した後に、任意後見人の仕事が始まります。
このように家庭裁判所が選任した任意後見監督人という公的な監督機関が付き制度の信頼性が確保されているところに、この制度の特徴があります。また、任意後見制度は、発効しても、選挙権の制限や取締役の欠格事由など本人の権利制限がありません。その意味でも、本人の意思決定権の尊重という成年後見制度の理念を最も具現化した制度といえます。
ご相談事例
- 父には成年後見人がいますが、父の世話につき十分なことをしていないように思えます。成年後見人を解任することはできますか?
- 亡父は私が幼い時に今の母と結婚しました。ただ母と私は養子縁組していません。私は成年後見の申立てができますか?
- 私は認知症の父の世話をしています。父の認知症が進み、成年後見の申立をしようと思っています。兄は私が成年後見人となることを反対していますが、私は成年後見人になれるのでしょうか。
- 姉が認知症の父の預金を管理しています。父の預金を使い込んでいるようなので注意すると、父を施設に入居させ、どこの施設に入居させたか私に教えません。父のためには成年後見申立てを行い、成年後見人に管理してもらいたいと思います。父がどこの施設にいるか分からない場合でも申立できますか?
- 成年後見の申立を行いたいのですが、必要な資料や手続きがよく分かりません。
- 任意後見契約を検討していますが、どのような内容を契約にいれればよいのでしょうか?
成年後見の気になるトピック
弁護士が行う業務としては以下のような業務があります
・後見制度の説明と手続きの支援
弁護士は、後見制度について後見対象者やその家族に説明し、必要な手続きや書類の作成などのサポートを提供します。後見制度は、判断能力の制約を受ける成年の人々を保護するために設けられており、弁護士は制度の理解や手続きの遂行を支援します。また、弁護士が代理人として申立を行うこともできます。
・後見人の選任
弁護士は、後見人(後見対象者の利益を代理し、管理する人)の選任手続きに関与します。後見人の適格性を評価し、適切な候補者を選ぶために助言や情報提供を行います。
・後見人選任後の助言や代理
後見人は、被後見人(後見対象者)の財産管理を担当します。弁護士は、被後見人(後見対象者)の親族の要請に基づき、財産の適切な管理がなされているかなど助言を行います。後見人の後見業務に問題がある場合、被後見人(後見対象者)の親族を代理して、解任請求等の法的な措置を講じることもあります。
・必要な手続きや代理活動の支援
親族が後見人に就任した場合など、後見人が被後見人(後見対象者)の日常生活や医療上の決定を代理する必要がある場合、弁護士はその手続きや代理活動を支援します。例えば、医療や住居の選択、契約の締結、社会福祉サービスの利用などの支援が該当します。
