医療事故


治療を受けて思わぬ結果になった場合、例えば簡単な手術を受けた家族が手術中に死亡したというような時、医療過誤ではないか?と疑いをもたれることでしょう。またそのような事例でなくとも、受けた治療の内容や結果に納得がいかず、治療が適切だったのかを疑うこともあるでしょう。
医者も人間である以上は、ミスや過誤が絶対にないとは言い切れません。しかし、通常の事故と違い医療事故はその過失の有無についての判断が非常に難しく簡単には責任を問うことができません。もしも病院側の過失が濃厚であったとしても、病院側がその過失を簡単に認めることはあまりなく、被害者自身で訴訟を提起しなければならないのが現状です。
医療過誤は時に人を死に至らしめる最悪の事態を引き起こします。ご遺族は、悲しみのあまり損害賠償まで深く考える余裕がありません。ところが、この時点で判断を誤ると将来大きな損失を被ることになってしまいます。弁護士は、被害者やご遺族と共に考えながら、できる限り納得いただける解決に導きます。
医療過誤であれば病院に損害賠償請求を求めることができます。ただ、ある治療の実施(または不実施)が医療過誤と判断されるためには、実施した治療(あるいは不実施)が医学的に間違っていて、しかもその間違いのために悪しき結果(死亡など)になったと判断される場合です。そして医療過誤ではないとしても、どうしてそのような悪しき結果になったのかの原因を探ったり、再発防止策を病院に求めることも大切です。

<医療過誤に関する主な業務>

・医療過誤の調査と証拠収集
医療事故の被害者やその家族の代理人として、医療過誤の調査や証拠収集を行います。専門家の意見を取り入れながら、調査や証拠収集を行い、資料の分析により被害の原因や責任をできるだけ特定します。

・被害者の権利保護と被害救済
被害者の権利保護と被害救済のために、被害者の代理人として、被害者の医療事故による損害に対し、適切な賠償がなされるよう、示談交渉や適切な法的手続きを行います。

・医療専門家との連携
医療専門家と連携しながら業務を進めます。医学的な知識や専門的な見解を得るために、医療専門家の意見や鑑定を利用します。医療過誤の原因や被害の評価において医療専門家の意見や証言は重要な役割を果たします。

・医療機関との交渉や訴訟対応
医療機関や保険会社との間で賠償交渉を行い、被害者の権益を守るために努めます。必要に応じて訴訟手続きを進め、裁判所での証拠提出や弁論活動を行います。

・医療事故の予防と改善に向けた活動
医療事故の予防と改善に向けた活動にも取り組みます。医療機関や医療従事者に対して、リスク管理や品質改善の重要性を啓発し、安全な医療環境の確保に貢献します。

<医療事故のご相談の前に>

医療事故にあったというお立場からすると、怒りや悲しみの感情も非常に強いであろうと思いますが、思い込みや勘違いによる感情的な怒りなどで行動すると問題を複雑にしかねません。まずは医療機関に説明を求め事実関係を正しく把握することが大切です。間違った話を元に手続きを進めても上手く行きません。

医療機関には、患者さんに対して説明義務がありますので、説明いただけることが大半だと思います。その際に感情的に医師や関係者を非難するのは避けるべきです。医療機関の方も人間ですから態度を硬化させて、お互いに感情的になり事実の把握が難しくなる場合があります。医療機関側のミスありきという考えでいると正しい情報が得られません。担当医がどのように考えてどのような対応をしたのかという事実や流れを正しく把握することが大切です。

ご相談事例

  • 身内が病院での手術の結果亡くなってしまったのですが、その治療について納得できないことが多いのですがどうすればよいでしょうか。
  • ある医療機関にかかっていたのですが、医師がこちらの言うことを全然聞いてくれなくて、症状が悪化し、別の医院に診てもらったらすぐに手術が必要だという事になりました。前の医院は診断ミスではないのでしょうか?
  • ある医院で自由治療をしたところ、事前に聞いていない法外な治療費を請求されました。払わなければいけないのでしょうか?

医療事故に関するトピック

医療事故と医療過誤の違い

ニュースなどで聞かれる中で「医療事故」という言葉と「医療過誤」という言葉がありますが、意味が異なります。
「医療過誤」は、医療従事者が注意を払い対策を講じていれば防ぐことができた人為的ミスによるもの。「医療事故」は、医療過誤も含め医療行為とは直接関係しない場合や患者ではなく医者などの「医療従事者」に被害が生じた場合などを医療事故と表現します。